十八世紀ローマの廃墟をめぐる覚書/岡田哲史(廃墟大全)

貨幣経済が定着した社会で、彼らが華やかなりし頃の生活を維持してゆくには現金が必要だったのだ。古物を発掘し、鑑賞し堪能できることに喜びを求めていたかつての価値観は、芸術品を所有し、それによって満悦感に浸り、ついにはそれを高額で売買することへ向けられるようになってしまう。(…)かつて人々の知的欲望を満たしていた古物は金銭的欲望を満たすものへと変わっていた。