都会のキノコ/大舘一夫

地中の光のない世界と、地上の光の世界を180度回転させてみる。そこには、樹木の根が乱立し、それぞれの根から枝のように伸びた枝根を葉のように菌糸が覆う森がある。それは光のない世界の森、「もうひとつの森」だ。この森の裏側の、光の世界の森に太陽の光が燦々と降り注ぐように、この森には、多様な腐生菌の生み出す地中の無機物質が降り注ぐ。また、この森は、光の世界と隔絶した世界ではない。光の世界を支える森である。