未来のイヴ/リラダン(少女コレクション序説/澁澤龍彦)

「貴君にとって、あの女の真の人格は、あの女の美しさの輝きが貴君の全存在中に目ざました《幻影》にほかなりません。この《影》だけを貴君は愛しておられる。この《影》のために死のうとなさる。貴君が絶対に現実的なものと認めておられるのは、この《影》だけなのです! 結局、貴君が呼びかけたり、眺めたり、あの女のうちに創造しておられるものは、貴君の精神が対象化された幻ですし、またあの女のうちに、複写された貴君の魂でしかないのです。そう、これが貴君の恋愛なのですな。」